印刷に関わる基礎話

印刷の種類としくみ

こんにちは♪
日本の夏(ムシムシ)まっただ中ですね( ´д`)
でも、去年のような猛暑にはならないようなので、ひとまずホッといたしました。

ところで!湿度にとって大敵ともいえます。
紙は水分を含むと、変形してしまいます。
代表的なものが「波打ち」「おちょこ」「カール」といわれるものです。

●「波打ち」「おちょこ」

1枚1枚積まれた紙の周囲の湿度が変化すると、紙の周辺が吸湿または脱湿します。
そうすると、その周辺部分が局部的に伸び縮みします。
これが紙ぐせトラブルとなる「波打ち」や「おちょこ」の発生要因であり、印刷時に見当狂いあるいは印刷しわなどの原因となります。

*見当とは

印刷で、刷る紙の位置を決めるための目印。その形からトンボともいわれます。
そして、下図が「波打ち」と「おちょこ」の形状です。
ただし、紙1枚全体が均一に吸湿または脱湿した場合は、紙の全体的な伸び縮みは起こりますが、局部的な伸び縮みは起こらないので、上記のような「波打ち」や「おちょこ」は発生しません。

●「カール」

カールとは紙が湾曲することです。すなわち、紙が一方向に丸まる状態を指します(下図)。 また、表裏のどちら側にカールをするかは、「伸びの小さい側」逆にいえば「縮みの大きい側」にカールをするという原則があります。
しかもその程度は表裏の伸び縮みの差が大きいほど大きくなります。 このような紙トラブルに注意を払わなければならないことも、紙に印刷をしているからこそなんですね!
(印刷物は、単純には出来ないということを改めて考えさせられました・・)
では、湿度と紙のお話はこの辺にしておきます(^_-)-☆

さて、第2回目は「印刷の種類としくみ」についてお話しします。
印刷を分類する場合、印刷物の原稿となる版の形状で分類するのが一般的です。
平版印刷、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷の4種類に分けられます。

日常生活でもっとも多く目にする書籍や雑誌、新聞、カタログ、ポスターなどの多くは平版印刷で作成されています。
なお、凸版、凹版、孔版印刷はインキを直接紙などに転写して印刷するのに対し、平版印刷は版に塗布したインキをいったんゴムや樹脂(ブランケットと呼ばれる)などに転写してから紙に転写します。
そのため、紙と版が直接接触しない独特なインキの転写方法をとることから、オフセット印刷とも呼ばれます。

―オフセット印刷―

印刷速度が早く、大部数、多色物に経済性があります。
紙質を選ばず、修正も比較的容易ですが、仕上がりは凸版印刷に比べやや力強さに欠けます。

[主な印刷物] 新聞をはじめとする出版物、ポスター、チラシ等

版式の原理
オフセット印刷では水と油の反発を利用して印刷をおこなっています。
オフセット印刷で使用される刷版(印刷の原稿となる版)は、アルミ板で作られたPS版というものが使われることが一般的です。
PS版の表面には感光剤が塗布してあり、紫外線やレーザー光などで感光させて現像をすると、画線部は親油性、画線以外の部分は親水性の異なる性質を持つようになります。

そして、印刷をするために版にインキを塗布するときは、インキを塗布する前に水(湿し水)を塗布します。
そうすると、親水性の性質を持つ画線以外の部分に水が残り、その状態に油性のインキを塗布すると、画線以外の部分は水によってインキがはじかれて塗布されるのを防ぎ、親油性を持つ画線部にのみインキが塗布されることになります。
版の厚さは数μなので、見た目には平らな板にしか見えません。なので、平版印刷と呼ばれます。

印刷機の原理
塗布されたインキは紙に直接転写されるのではなく、弾力性のあるゴムや樹脂などでできたブランケット胴にいったん転写されてから(オフ)、
圧力が加えられて紙に転写されます(セット!)。

濃淡の表現と識別
印刷物の濃淡は網点の大小で表現され、インキの膜厚は網点の大きさに関係なく均一です。

濃淡濃い淡い
断面図
インキ面積
インキ被膜同じ

*網点とは

この4色のツブは網点といい、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4色です。
カラー印刷物はこの4色の網点で表現されています。
網点については、また詳しくご説明させていただきます★

―凸版印刷―

印刷する画線部が凸状になった版を使用する印刷です。
凸状になった部分にインキをつけ紙に直接押し当てるので版は逆像になります。
身近なところではハンコがこれと同じ原理です。

印刷した画線部の輪郭が鮮明で、仕上がりも力強くなる特長がありますが、インキを紙に転写する際に圧力をかけるため紙に凹みが発生することや、広い範囲へのインキ転写には向かないなどのデメリットがあります。

[主な印刷物] 週刊マンガ等

版式の原理
凸版は画像部(インキが付くところ)が凸状、非画像部(インクが付かないところ)が凹状になっていて、印刷時は凸部にインキが付着し、印刷される仕組みになっています。

印刷機の原理
圧力を加えて版から直接紙、その他の被印刷体にインキを転写し印刷します。

濃淡の表現と識別
印圧により、凸部に付いたインキは押し出されて、凸部の周囲のインキ被膜が厚くなります。
したがって、中心部はインキ被膜が薄いため、濃度は淡くなります。
この周辺の濃い部分をマージナルゾーンと呼び、これが凸版印刷で刷られた文字の輪郭が鮮明な理由です。

濃淡濃い淡い
断面図
インキ面積
インキ被膜同じ


―凹版印刷―

印刷する画線部が凹上になった版を使用する印刷です。
転写するインキの量で濃度を表現するため、印刷された画線の表面に段差ができる特徴があります。

凹版印刷はグラビア印刷とも呼ばれ、写真の印刷や美術印刷に強いと言われていましたが、版の生成が難しいことやインキの転写に強い圧力が必要などのデメリットがあります。

[主な印刷物] 大量部数のカラー雑誌・食品パッケージ等

版式の原理
凹版は画像部が凹状になっていて、印刷時は凹部に入ったインキが印刷される仕組みになっています。
版は逆像になります。主に銅版が使われます。

印刷機の原理
版全体にインキをつけ余分なインキをドクター刃で落としてから、凹状になった部分に溜まったインキを紙に移します。

濃淡の表現と識別
くぼみの深い、浅いによって、転移されたインキの膜厚が違い、その結果印刷物上ではインキの濃淡となって現れます。各網点の大きさは均一です。

濃淡濃い淡い
断面図
インキ面積
インキ被膜同じ


―孔版印刷―

メッシュ状の版に印刷したい画線部のみインキが通るように処理を施し、そこからインキを押し出して紙などに転写します。
昔は版にシルクを使ったことからシルクスクリーンとも呼ばれ、版の柔軟性を活かして曲面などにも印刷できるメリットがありますが、短時間での大量印刷や精度の高い画線の印刷には向きません。

[主な印刷物] 用紙・金属・フィルム・電子部品等

版式の原理
刷版材料として天然・化学繊維を含むスクリーン(紗)を使用し、インキを通過させるところと、通過させないところを作ります。

印刷機の原理
画像部が貫通した版を用い、版の下に紙などの被印刷体を置きます。
スクリーン枠の内側の一端にインキをのせ、スキージーを往復させて、インキをスクリーン(紗)の下に押し出し印刷します。

※スキージーとは、スクリーン印刷でインクを刷る際に使うヘラの名前です。
製版したスクリーンの描画部分(目止めされていない孔)からインクを押し出し用紙に定着させます。一定の角度を保ったまま上から圧をかけ、均一の力で引きます。

濃淡の表現と識別
インキの性質が他の版式と異なり、印刷物上でのインキの膜が厚く盛り上がったようになっています。

濃淡濃い淡い
断面図
インキ面積
インキ被膜同じ


以上が、印刷を版の形状で分類した場合の4種類となります。
それぞれの特徴・しくみを知っていただけましたでしょうか?

このような話から、身の回りの印刷物を今までとは違った角度で見ていただけたら幸いです(^ω^*)
今後ともよろしくお願い致します☆〃