用紙値上げについて
用紙値上げも一段落
印刷用紙の値上げは昨年の1月から始まり、本年2月までに2、3度の値上げを経て、中には1.5倍の価格となった商品もありました。他社より少ない2度の値上げで止まっている王子製紙の商品は、コート紙、マットコート紙、上質紙など、結果的に他社より安価なのはご存じの通りです。実際に当社の価格で試算すると、コート135kgでA5判のカバー10,000枚を印刷する用紙代としては、「OKトップコート+」と「オーロラコート」の価格差は1,350円となりました。早急に安価な商品に変更というよりは、安定して入手できる商品で良いのかもしれません。
価格差ということでいえば、嵩高でイエロー色の書籍用紙でも比較してみました。この種の用紙は生産中止の商品も増え、用紙選択に迷わなくなっています。その中で、米坪が2種しか無い「メヌエットフォルテクリーム(北越)」は、それぞれ72g/㎡: 128μm、77g/㎡: 138μmという紙厚になっていますが、これと全く同じ米坪と紙厚の商品が「OKプリンセス(王子製紙)」「オペラクリームマックス(日本製紙)」の2種もありました。そこで、この3種を、四六判256頁で4,000部、すべて四六版Y目62kg(米坪 72g)を使うとして試算すると、「オペラクリームマックス」が「メヌエットフォルテクリーム」より12,000円安くなる結果となりました。「OKプリンセス」はその中間くらいです。でも、この3種は、色味にそれぞれ特徴があるので「価格」のみが選択基準にはなるとは限りませんね。
印刷情報用紙値上げの主要各社ニュースリリースまとめ
北越コーポレーションニュースリリース:2023年1月21日出荷分から
※2023年4月15日リサーチ時点
値上げの中、書籍用紙にも生産終了銘柄が
値上げと共に気になるのが、需要減少などの理由により生産終了となった商品。昨年から今年に掛け、またいくつかの書籍用紙が姿を消しました。
★2022年12月に生産終了となったもの
三菱嵩高書籍用紙65A:OKライトクリームと近似の紙厚で不透明度が高い分やや重かったが、かすかな赤味の色が他になく貴重な商品だった。書籍用紙で赤味のある商品は残すところ、ソリストSP(N)のみか。
三菱嵩高書籍用紙55A:紙厚も斤量もOKハルクリームと近似の商品、色味も近似だがややざらついた風合いは厚みを感じてもめくり易かった。
オペラクリームウルトラ:メヌエットライトクリームと紙厚128、138μmの2商品が同一斤量で色味が濃くて句集などに向いていた。
淡クリームラフ書籍:全ての米坪が受注生産になってしまった。
でも、残された嵩高書籍用紙でも、内容や頁数により選択できるだけの数はあります。書籍印刷のご相談、ご発注をお待ちしています。
NTラシャ100kgの梱包単位、200枚に
装丁でよく使われているNTラシャも昨年9月に値上げ(12%)していますが、販売している竹尾の価格表には、使用頻度の高い100kgについて「包入り数は順次100枚から200枚に変わります」の表記が…。竹尾も平和紙業も自社商品の単価の購入枚数別単位の構成はほぼ同じです。①49枚まで、②50枚以上包単位未満まで、③包単位以上、④1,000枚以上(商品により500枚以上など中間の項もあります)の4段階の枚別単価が設定されています。例えば、四六判書籍で見返にNTラシャ100kgを使い、1,200部増刷となり、100枚包の想定で175枚購入、実は200枚梱包に切り替わっていたという場合は、梱包単位の200枚で買う金額より10,000円高くなってしまいます。
特殊紙でも去年値上がりした商品は多く、4月には新・日本の色 細布(10%)、5月にはOKミューズコットン(10%)、エコジャパンR(10%)、9月にはヴァンヌーボ(シリーズ内で10~14%)、NTラシャ(12%)、アラベール-FS(10%)、本年3月にはMr.B(22%)など、お馴染みの商品が値上げとなりました(括弧内はその銘柄の平均値上げ率)。
特殊紙は「ファンシーペーパー」とも呼ばれていますが、これは平和紙業が使っている呼称で、竹尾では「ファインペーパー」と呼んでいます。 お馴染みのミニサンプル帳で商品を選びますが、見本帳を常に最新のものにしておくことは大変なので、用紙選択に悩んだら「ペーパーボイス東京」「見本帖」で最新版を利用します。特に、神保町竹尾の「見本帖本店」では常備在庫品約300銘柄(2,700種類)の商品が類似色のグラデーションになって並べられていて、色で選択に迷ったときにはとてもありがたい展示になっています。
竹尾様 見本帖本店リンク
平和紙業様 ペーパーボイス東京リンク