CTP出力についてお話しします。
CTPとは
DTPでデータを作成したら、次に印刷の版を出力します。その版を出力する機械がCTPと呼ばれるものです。 CTPは「Computer to Plate」の略で、コンピュータで作成したデータを直接プレート(版)に焼き付ける技術、またはその機械のことをいいます。
弊社設置CTP
出力の流れ
データから印刷の版が出力されるまでの流れをご説明します。
■確認作業
データ情報(ファイル形式、サイズ、色など)、出力形態(本番か校正か、またはDDCP出力か)、印刷情報(印刷機の機種、色、用紙など)、製本情報(頁数、綴じ方、後加工など)を確認します。
■RIP処理
RIPとは、「Raster Image Processor」の略です。ラスターイメージとはビットマップデータのように点(ドット)で表現される画像を意味します。
イラストレーターで作られた画像や文字は、ベクターデータで管理されています。ベクターデータとは、始点と終点を結ぶ線分で表現される情報のことです。
版出力は網点で出力するので、RIP処理を行なってベクターデータからビットマップに変換します。
■面付け作業
1ページ単位で出来ているデータを、一定のパターンに基づいて一枚の紙に納まるように配置します(面付け参照)。印刷や製本作業を行う上で、必要なトンボ、ハリといったパーツを取り付け、印刷時の濃度やバランスを測定するために必要な測色バーなどを取り付けます。
印刷機や製本の種類によって、面付方法が決められており、印刷や製本を行う上で最適な面付を行います。作成した台割に処理済みデータを貼り込み面付け完了。
■照合検査
面付け済みデータを、大判プリンタでプレートと同じサイズで出力します。原稿通りに出来ているかどうか、あおりチェック※等の方法で照合検査を行います。
※あおりチェック…出力したプリンターと原稿をあおりながら見比べることで、残像効果を利用して相違がないか確認する作業のことです。
■版出力 ■DDCP出力(校正用、納品用)
■検査
作成した版の検査を行います。製造指示書・原稿との比較をし、版キズ・ボケ・ヌケ・曲がり等の問題がないか確認します。
CTP導入前の刷版
CTPが登場するまでは、「イメージセッタ」というもので透明なフィルムに印刷内容を印字して出力し、このフィルムをPS版と呼ばれるアルミプレートに露光させて焼き付けて、印刷版を作成していました。
フルカラー印刷ならCMYK4色分の版が必要ですので、この作業が4回発生することになります。
手作業でフィルムを並べたり、貼ったりというアナログな作業のため、デジタルデータをそのまま版に反映できないという問題点もありました。そこで、考え出されたのが「CTP」です。
「イメージセッタ」でのアナログな作業から、データを直接プレートに焼付けることで、より早く、正確に表現することが可能となりました。
このような「フィルムレス」によるアナログ作業からの開放により、印刷・製版業界にCTPが急速に浸透していきました。そして、CTP導入後は納期が短縮でき、物的・人的コストも削減されるようになりました。
★CTP導入後のメリット
印刷品質の向上と安定化
CTPではデジタルデータを直接プレートに露光するので、手作業で行なっていた焼き付け時の見当不良がなく、見当精度が良くなります。
短納期
フィルム出力工程が無くなった分、時間が短縮されます。
低コスト
フィルム出力工程が無くなった分、コストが削減されます。
エコ
従来使用していたフィルムが不要になったので、フィルムはもちろん、現像時に出る廃液など廃棄物の削減が可能となりました。製版時の資源を軽減することで環境保護にも繋がります。
インキ壺への対応も可能
CIP4と呼ばれる装置と連携させることによって、インキ量のデータ管理が可能になりました。
★CTP導入後のデメリット
フィルムの再版
フィルムで印刷したものを再版する時は、改めてアナログ刷版を行わなければなりません。現在、アナログ刷版を扱える製版会社が少なくなってきているため、その刷版コストは高くなってしまいます。
■レーザーイメージング技術
CTPにはいくつかの種類がありますが、一般的にはアルミを版材としてレーザーイメージング技術を応用したアルミCTPが使われています。
DTPで制作されたデータをRIP演算によりビットマップデータに変換し、レーザーにより版を出力します。インクが乗らない部分はレーザーで焼き飛ばされ、残った部分(緑色部分)にインクが乗ります。レーザーで焼き飛ばした部分(白い部分)には水が入り、水と油の関係でインク(油)をはじきインクがつかないという構造になっています。
※これはポジの場合です。大体がポジになりますが、ネガの場合は緑色部分と白い部分が反転します。
今回は、「CTP出力」についてのお話しでした。