「DTP~画像編」についてお話しします。
スキャニング
写真や絵などの原稿を印刷物に使用する場合、スキャナという機械を用いて色分解*を行い原稿をデジタルデータ化します。このことをスキャニングといいます。
*…色分解とは色の成分(CMYKの4色)に分解し、データとして記録することです。
それではスキャニングの流れをご紹介します
まず、印刷物に使用する原稿をシリンダーという筒状のガラスに貼り付けます。
下の写真は「ドラムスキャナ」です。スキャナにはこのドラム型と、フラッドベッドと呼ばれるコピー機に似ているようなものと2種類あります。ドラムという機構の特性上、凸凹があったり、厚みがあったり、硬かったりして曲げることのできない原稿は読み取ることができないので、その際はフラッドベッドスキャナでスキャンを行います。
そして、この中に先程のシリンダーをセットしてスキャニング開始です!
スキャナの中ではシリンダーが高速回転しながら、上下に動くCCDカメラによって原稿が読み取られます。
〈1回目〉原稿の位置を確認
〈2回目〉透過原稿か反射原稿か、原稿の設定をしてスキャニング
〈3回目〉色補正やトリミングを行って、再度スキャニング
このように3回スキャナを回します。
透過原稿と反射原稿
透過原稿は光を透過して見える原稿のことで、主にフィルムを指します。フィルムにはネガとポジがありますが、スキャニングで扱うものはほとんどがポジフィルムです。
ネガフィルムはプリント用のフィルムのことで、明暗や色が反転しています。最近では見なくなったインスタントカメラがこのネガフィルムになります。
反射原稿は光を原稿に当てその反射光で像が確認できる原稿のことで、イラストや印刷物などを指します。印刷物の場合は網点で出来ているので、角度をつけてスキャンをしないとモアレが生じてしまいます。そのため、スキャナにはモアレ除去機能が搭載されており、印刷物をスキャンする時はその機能を利用します。
モアレとは
規則正しいパターンが重なりあった時に生じる斑紋のことです。
スキャニングをすると、パソコンに原稿データが送られます。ここで画像をEPS形式で保存します。EPSは簡単にいうと印刷用データのことです。
そして、Adobe Photoshopという画像処理ソフトを使って、印刷に適したデータへ加工します。
このソフトではデジタルカメラのデータを印刷用データにすることも可能です。
★印刷に適したデータってどんなものでしょう?
- ・色の設定はRGBではなくCMYK
- ⇒印刷は色の3原色であるCMY+K(スミ)の4色で行います。
- ・色を掛け合わせる際、CMYKの総量は300%以下に設定
- ⇒インキが大量に使われると、乾くまでに時間が掛かかる、重なった別の紙にインキが写るなどさまざまなトラブルが生じてきます。CMYKインキをそれぞれ100%使うと400%になるので、CMYKのインキ総量が300%以下になるように濃度を設定します。
- ・用紙に合わせた色の調整
- ⇒用紙によって色の出方は違ってきます(色が沈みやすい紙、もともと黄色っぽい紙など)。そのため、データ作りの段階で用紙に合わせた色の調整を行います。
この他にもいくつかありますが、DTP工程では仕上がりを想定してデータを作っているので、この絵柄だと、この写真だと、こんなことが起こりうるから…と予めデータで調整しておくのです。ここでほぼ印刷物の仕上がりが決まってきます。
画像処理
よく行われる画像処理は下記のようなものです。
切り抜き…物体を選択して切り抜く作業
色補正…色や明るさなどを変える作業
ゴミ取り…ゴミなどを取り、背景となじませる作業
シャープにする…くっきり、はっきりさせる作業
ちなみに印刷業界ではボヤッとしている画像のことを「ネムい」といいます。これはPhotoshopのシャープネス機能を使うか、またはコントラストを強めることで回避できます。
シャープネスはエッヂをつけることができ、コントラストは濃淡の差をつけることでメリハリがつけられます。
このように印刷物に使う画像は、印刷に適した様々な加工がされて、紙面や表紙などに綺麗に写し出されます。そこがパソコンからプリントアウトする画像とは違う点になります。今回は、DTPにまつわる「画像加工」についてのお話しでした。