クライアント:株式会社 日本看護協会出版会様
「ナイチンゲールの越境」シリーズ 特設サイト
「ナイチンゲールの越境」シリーズについて
日本看護協会出版会様では、2020年からフローレンス・ナイチンゲールの生誕200年を記念して、関連書籍を発刊されています。今回担当させていただいたのは「ナイチンゲールの越境」というシリーズで、世間の人が考えるナイチンゲールのイメージを「越境」しているような、ナイチンゲールの業績や考えなどがつづられています。普段は看護系の専門書を多く発刊されている出版会様ですが、このシリーズは看護分野に関わりのない人が読んでも面白く興味深い内容だと思います(弊社営業担当も興味深く読ませていただきました!)。
ナイチンゲールは言わずと知れた看護の様々な礎を築いた偉人で、公益社団法人日本看護協会様と関わりが深い出版会様では、世界的に催しをするのが難しいコロナ禍で、後世に伝えていくべきナイチンゲールの人物像や業績を何とかメモリアルイヤーにふさわしい形で刊行したい、というお気持ちがあったのではと思います。
弊社としてもできる限りご要望にお応えできるように、DTPから印刷・製本などで携わらせていただきました。
装丁デザインのできる、できない
今回はいつもより早い段階から装丁のご相談をいただきました。既に編集者様とデザイナー様の中でイメージが固まっており、現在発刊されている「ナイチンゲールの顔のアップのモノクロ写真とビビッドな背景色のコントラスト」が印象的なデザインが出来上がっていました。このデザインを元に用紙などの具体的な仕様をお聞きして、弊社から少しアドバイスさせていただいたことを表紙に着目してご紹介させていただきたいと思います。
用紙:GAクラフトボード-FS(色:シルバーウォール) L判 23.5kg
印刷:UV印刷2色刷(スミ+特色)+グロスニス加工
製本:アジロ並製+筋押し
用紙について
当初はGAクラフトボード-FSの「色:ムーンストーン」「27kg」でご検討されていました。厚めの紙のため印刷方法はUV印刷となりました※1。またバーコードの読み取りの懸念もあったためホワイトを二度刷りするという案が出ていましたが、用紙を「色:シルバーウォール」に変更いただいたことでホワイト刷は不要になりました。
紙の厚みについて、ひとつ斤量を落としても仕上りは問題なく、コストも抑えられると考えたため※2下げることをお勧めさせていただきました(事前に束見本で確認していただきました)。
外部リンク:株式会社竹尾 GAクラフトボード-FS紹介ページ
印刷について
用紙決定後は本機校正をとりました。UV印刷のため、加工や流通上で擦れ汚れなどの心配がないと思っていたので「ニスはなくても」というご提案をしていましたが、校正ではニスありとなしをとりました。実際ニスを入れると、全体的に濃度感と立体感が出てとても素敵になり、ニスありが採用されました。ニスの効果について改めて勉強させていただいた機会でした。
製本について
紙の斤量をひとつ落としたので通常の製本ラインで加工可能となりましたが、ノド側表1・4に筋押しすることをご提案しました。今回は見返がない仕様で、紙の厚みも一般的な書籍に比べるとまだ厚く、本が開きにくくなったり、開いたときに表紙と本文がはがれやすくなってしまう懸念があったためです(今回の筋押しは通常ラインで設定可能なものでした)。
最後に
ご担当の編集者様やデザイナー様は元々印刷についての造詣が深く、アイディアや加工方法についていつも学ばせていただいております。そういった機会の中でも、弊社としては知識や経験をいかして、印刷や製本加工について真摯にできる、できない、またそれを超えるようなご提案ができればと考えております。
※1 紙が厚いと通常のオフセット印刷では機械に入らなかったり、印刷後紙同士の自重で汚れが出てしまうためUV印刷機でしか印刷できない場合がある
※2 紙が厚すぎると通常の製本ラインでは加工できない場合がある。「紙が割れる」「背の角が出ない」「表紙が開いた状態になってしまう」など